自閉スペクトラム症の被害者とADHDの加害者というケースを耳にすると、発達障がい児に対する誤解や偏見が浮上することがあります。
しかし、発達障がいは脳の機能障がいであり、努力不足や子育ての失敗、性格の問題ではありません。そのため、単に「悪いことだからやめなさい」と叱責するだけでは問題の解決にはならないのです。
他の障がいを例に挙げて考えてみると分かりやすいでしょう。
例えば、足が動かない(障がいのある)子供がいる場合、その子に
「足が動かないのは君が悪いからだ。何とかして動かしなさい!」とは言えません。
障がいがあることを前提に適切な支援を提供する必要があり、発達障がいは「見えない障がい」であるため、同様の理解が必要です。
発達障がい児がいじめの被害者や加害者になりやすいのは、研究でも明らかになっており、彼らの特性である「衝動性」や「社会性に問題がある」点が影響しているとされていますが、重要なのは「支援不足」の可能性です。
十分な支援が提供されれば、発達障がい児は集団に適応しやすくなり、周囲の子供たちも理解と協力を示すことが多いのです。つまり、学校環境や雰囲気も、いじめのリスクに影響を与える重要な要因だと言えます。
「子どもの発達科学研究所」の研究では、学校の環境や風土がADHDの児童のいじめ被害リスクに影響することが示されました。
発達障がいだけでなく、知的障がいや身体障がいなどの子供たちも同様の問題に直面している可能性が高く、いじめが発生する原因として支援不足がある場合は、責任は学校にあると言えるでしょう。
また、障がい児差別や他の深刻な問題が背後に潜んでいる可能性もあるため、学校教育においてはより高い人権意識を持つことが重要です。
「教育新聞」記事より抜粋